堅実サラリーマンの物販ビジネスブログ

物販関連の話題を中心に、ビジネスを実践しながら日々感じていることを綴っていきます。

死ぬことと見つけたり / 隆慶一郎

歴史小説を読まなかった私が、
読み出して3冊目の本が「死ぬことと見つけたり」でした。

この本はとても読みやすかったです。
決して歴史小説に慣れてきたからではありません。
頭にに映像が浮かんできます。
淡々とした文字が、頭の中で映像として再生されていくのです。

登場人物のキャラクターもそれぞれしっかり描かれていて、
それが読みやすかったのかもしれません。
自分の中にキャラクターが生成されると、勝手にそのキャラクターが頭の中で動いてくれる。
読み手の頭の中に人物像をいかに作れるかが作家の力量だと思います。

物語の舞台は佐賀鍋島藩
主な登場人物は斎藤杢之助、中野求馬。
彼ら島藩の武士たちは、生きながらにして「死人」。
すでに死んでいるから、切腹することも厭わない。
自分の中の武士道に沿って、恐れることなく忠実に生きることができるのです。

杢之助は自由奔放な浪人。自分の中の武士道に忠実に自由に生きている。
求馬は役人側の人間となりながらも、武士として生きている。
立場は違えど、精神は同じ。
この二人が鍋島藩のために活躍する物語です。

杢之助に憧れて読み進めるも、
こんなふうにはなれないな、求馬のやり方が現実的なのかなとも思い、
でもやはり杢之助の鋭い生き様に憧れます。

いよいよ最終話。
高齢の勝茂が最後を迎えようとする場面。
物語は突然終わります。
残り三話を残して作者の隆慶一郎が亡くなったとのこと。

編集者の話では、勝茂、杢之助、求馬の死がこの後に続く予定だったとのことです。

衝撃でした。まさか作者が亡くなるとは。
こんな結末は予想していませんでした。

でも、物語が未完だからこそ感じるものがあります。

私の頭の中ではこの十五話のところで時が止まっています。
杢之助も求馬も生きています。

鍋島の武士として自分の武士道に忠実に生きた彼らは、
時空を超えてまだ私の中では生きているのです。

そしてまだ生きている私の人生に、なにか問いかけてくるようにさえ思えました。
「お前はいつ死んでもいいと思って生きられているか。
お前に信念はあるのか。悔いなく生きられているか。」
と。

 

杢之助や求馬が自分の信念に生き、死に方を自分で決めたように、

「死に方」を考えてみようと思いました。

どのように死にたいかを決めることで、杢之助のような生き方に近づけるような気がして。